stories 09
包む Wrapping/Invólucro

日本人にとって「包む」とは、
単なる造形の美しさや、単なる高機能を求めるための装飾ではありません。
この国の包む文化は、縄文時代以降、数千年に渡って
実用性と芸術性と信仰の3つの要素がからみあいながら発達してきました。

我々は真っ白な紙に包まれた「折形」からは、
まだだれにも使用されていない清浄さを感じ、
無駄のない造形の「たまごつと」には自然の高機能とそれを見出した人間の感覚を思い、
一枚の「風呂敷」からは水のような柔軟性を感じとります。
日本人にとって包みは、自然への尊敬と知恵の集合体であり、
神との対話であり、見えない意識を通わせて、
相手とより一層深くつながるための言葉でもあります。

用の包み

貴重なたまごを保護し、運搬と保存を簡単にした「たまごつと」や、重い米の運搬の負担を軽減させた「米俵」、円柱をころころと転がして運搬できる「樽」など、農耕時代は身近な自然素材と知恵を使い、食物を機能的に包むことで、より合理的に、うるおいのある食文化を手に入れてきました。

  • たまごつと
  • みかんネット
  • 編み凍み餅
  • 高野豆腐
  • 車海老
  • 切り干し大根
  • つるし魚
  • 編み唐辛子
  • 米俵
  • 十六味保命酒
  • 古傳桶詰
  • 三光丸
  • たまごつと

  • みかんネット

  • 編み凍み餅

  • 高野豆腐

  • 車海老

  • 切り干し大根

  • つるし魚

  • 編み唐辛子

  • 米俵

  • 十六味保命酒

  • 古傳桶詰

  • 三光丸

信仰の包み

日本人は、まっさらで汚れのない「紙」に「神聖」を見出し、包む行為にも神秘を見出してきました。小さな袋や箱にご利益のあるお札を包んで身につける「お守り」や、洗米や金銭を白い紙に包み神社や寺に供えたり、贔屓の歌舞伎役者に投げたりする「おひねり」、桃の節句の「流し雛」などは、精神の依り代としての包みの一例です

  • おひねり
  • たんきりあめ|安久美神戸神明社
  • お守り|神明神社
  • 千歳飴|金太郎飴本店
  • 千木筥(ちぎばこ)|芝大神社
  • 流し雛
  • おひねり

  • たんきりあめ|安久美神戸神明社

  • お守り|神明神社

  • 千歳飴|金太郎飴本店

  • 千木筥(ちぎばこ)|芝大神社

  • 流し雛

儀礼の包み

お祝い・お悔やみ・季節の挨拶といった改まった贈り物では、内容に応じて包み方を変えることで、相手に「礼儀」を示すことができます。神様との結界であるしめ縄から生まれた「水引」、中身によって紙の折り方を変える「折り形」、薄く切った干しあわびを添えて永遠性を祈る「のし」などは、古く貴族社会や武家社会で整えられた「礼儀」の約束事が、現代の生活にまで受け継がれているものです。

  • 伊勢貞丈『包結図説』より「折り」見本の復元(折形デザイン研究所作成)
  • 伊勢貞丈『包結図説』より「折り」見本の復元(折形デザイン研究所作成)
  • 伊勢貞丈『包結図説』より「折り」見本の復元(折形デザイン研究所作成)
  • 祝い箸包み 二膳|折形デザイン研究所
  • 祝い箸包み 五膳|折形デザイン研究所
  • 合わせ紙幣包み(弐)|折形デザイン研究所
  • 紙幣包み(小) (紅白・胡粉)|折形デザイン研究所
  • 紙幣包みの詰め合わせ|折形デザイン研究所
  • ご祝儀袋
  • 大入り袋
  • 伊勢貞丈『包結図説』より「折り」見本の復元|折形デザイン研究所作成

  • 伊勢貞丈『包結図説』より「折り」見本の復元|折形デザイン研究所作成

  • 伊勢貞丈『包結図説』より「折り」見本の復元|折形デザイン研究所作成

  • 祝い箸包み 二膳|折形デザイン研究所

  • 祝い箸包み 五膳|折形デザイン研究所

  • 合わせ紙幣包み(弐)|折形デザイン研究所

  • 紙幣包み(小) (紅白・胡粉)|折形デザイン研究所

  • 紙幣包みの詰め合わせ|折形デザイン研究所

  • ご祝儀袋

  • 大入り袋

紙で包む

紙の素材となる楮が豊富にとれた日本では古くから多様な紙がつくられてきました。まっさらな状態から鮮やかな色彩や複雑な形状を加えることができる紙の包装は、特に菓子屋の多い京都や奈良のものに見るべきものがあり、より洗練された「都」のデザインの妙を見ることができます。一方で、ほかほかの饅頭や鯛焼きを気取らない紙でくるっと包んで出される、ほのぼのとした親しみやすさも紙の魅力です。

  • 森奈良漬店|きざみ奈良漬
  • 笹屋伊織|どら焼き
  • 一保堂|包装紙
  • 三條若狭屋|祇園ちご餅
  • 甘泉堂|四君子
  • 両口屋是清|二人静
  • 亀屋良永|夕月
  • 落雁諸江屋|花うさぎ
  • 森奈良漬店|きざみ奈良漬

  • 笹屋伊織|どら焼き

  • 一保堂|包装紙

  • 三條若狭屋|祇園ちご餅

  • 甘泉堂|四君子

  • 両口屋是清|二人静

  • 亀屋良永|夕月

  • 落雁諸江屋|花うさぎ

竹で包む

九州地方から北海道までどこにでも自生する竹は、日本人にとって最も身近な天然素材のひとつでした。節を利用して切れば水を入れる器にもなり、木肌を薄く削いで編み込めば繊細な篭にもなります。さらには竹の皮には防腐効果があるといわれ、中に包んだ食べ物が悪くなりにくく、竹の皮に包んで持ち歩いたおむすびは「お弁当」のルーツになったともいわれています。

  • 鍵善良房|おひもさん
  • 髙橋孫左衛門商店|笹飴
  • のし梅
  • 鍵善良房|甘露竹
  • 作和庄|笹ゆべし
  • 笹団子
  • 金谷正廣|真盛豆編笠入り
  • とらや|竹皮包羊羹
  • 鯛惣|創製 浜焼桜鯛
  • 鍵善良房|おひもさん

  • 髙橋孫左衛門商店|笹飴

  • のし梅

  • 鍵善良房|甘露竹

  • 作和庄|笹ゆべし

  • 笹団子

  • 金谷正廣|真盛豆編笠入り

  • とらや|竹皮包羊羹

  • 鯛惣|創製 浜焼桜鯛

季節の植物で包む

一年には細かく見ると72の季節があり、その移ろいに繊細に心を寄せてきた日本人は和菓子でその感性を表現しました。また、和菓子の中には植物の葉で菓子を包んだものがあり、これは乾燥を防ぐと共に、持ち運びやすくするための工夫であったといわれています。桜の葉で包む「桜餅」やブナ科のかしわの葉で包む「柏餅」、笹の葉でくるんだ「粽」などは有名ですが、他にも「よもぎまんじゅう」「笹だんご」といった土地の植生を生かした季節の和菓子を全国で見ることができます。

  • とらや|椿餅
  • とらや|粽
  • とらや|桜餅
  • とらや|笹衣
  • とらや|柏餅
  • とらや|椿餅

  • とらや|粽

  • とらや|桜餅

  • とらや|笹衣

  • とらや|柏餅

木で包む

温暖多湿でさまざまな種類の木が育ち、国土の7割を森林に包まれる日本。木は家や道具、そして丈夫な保存容器をつくるための実用的な素材である一方で、神々しいほどのなめらかな光沢をおびた白木の質感に、日本人は極めて高い清浄感を見出し、神への供えものをのせる台として、また格別な贈答品を入れる箱として重用されてきました。

  • 三條若狭屋|祇園ちご餅
  • 亀末廣|京のよすが
  • 柏屋光貞|京氷室
  • 日本橋さるや|千両箱楊枝入り
  • 笹乃雪|お土産
  • 金谷正廣|真盛豆利休井筒入り
  • 登り鮎|玉井屋本舗
  • 万年堂|和三盆おちょぼ
  • 小男鹿本舗冨士屋|霰三盆
  • 三條若狭屋|祇園ちご餅

  • 亀末廣|京のよすが

  • 柏屋光貞|京氷室

  • 日本橋さるや|千両箱楊枝入り

  • 笹乃雪|お土産

  • 金谷正廣|真盛豆利休井筒入り

  • 玉井屋本舗|登り鮎

  • 万年堂|和三盆おちょぼ

  • 小男鹿本舗冨士屋|霰三盆

藁の包み

日本文化そのものが、稲作の中で生まれたものだと言われますが、特に米を収穫したあとの干した稲でつくる藁の包みには、繊細な感性の中で営まれてきた日本の農耕生活の質を垣間見ることができます。きわめて強い繊維を持ち、しなやかで扱いやすく、こわれやすいものを包むのに最適な「藁」。その藁が最も手軽に手に入る素材であったことから、日本では独特な藁包みの文化が花開きました。

  • 国泉泡盛合名会社|どなん(花酒)
  • 巻鰤
  • 藁納豆
  • どなん

  • 巻鰤

  • 藁納豆

無限の方形

箱であっても、大きな瓶であっても、球体であっても、複雑な形状のものを一枚の四角形で包み込み、ひとまとめにしてしまう風呂敷。一枚で何にでも、何度でも使えるとあって時代ごとにさまざまな使用方法が編み出され、いまなお更新をつづけています。真心や敬意をこめ、結び目をつくらない「平包み」や、2本のワインボトルを片手で持ち運べる「合わせ包み」など、5つの包み方を紹介します。

  • お使い包み|基本の包み方。気軽な贈り物やお弁当包みにも。
  • 平包み|最も正式な場にふさわし包み方。結び目を作らずに包む。
  • ふたつ結び|細長いものを包むときの包み方。結び目の大きさを揃えるときれいに包める。
  • すいか包み|大きく丸いものを運ぶための包み方。あらゆる形のものを包める。
  • 合わせ包み|同じかたちのもの2つを持ちやすくする包み方。
  • お使い包み|基本の包み方。気軽な贈り物やお弁当包みにも。

  • 平包み|最も正式な場にふさわし包み方。結び目を作らずに包む。

  • ふたつ結び|細長いものを包むときの包み方。結び目の大きさを揃えるときれいに包める。

  • すいか包み|大きく丸いものを運ぶための包み方。あらゆる形のものを包める。

  • 合わせ包み|同じかたちのもの2つを持ちやすくする包み方。